はやく気づけ、バカ。



そう思っていると時間が気になり、スマホを取り出しホームボタンを押した。

(ふぅ...7時くらいに出たのにもう9時か。結構付き合ってたな。)

こんな時間までーーと長野さんに言われたときはそんなことない、と思っていたけど体感よりも確かに過ぎた時間は多かった。

(こうやってショッピング...ではないけど、気の置けないような人と過ごす時間って意外と大事なの...かも。)

そう思いながらホームの真ん中のほうへと歩いていると、見知った顔を見つけた。

(...あ、あれって...)

ぎょっとしていると「あ、」とその人が声を上げた。...私に気が付いたようだった。


「甘利さん。お疲れ様です。」

「あ...、お疲れ様です真島さん。」


丁度3m程先には右手にスマホを持つ真島さん。

(ましまさん...真島さんもタイムリー過ぎない...?)

心の中でつくづく、運がないのかもしれないと悲観してみる。


「おひとりですか?」

真島さんと目が合って無視することもできず、真島さんのほうへと歩を進める。

「はい、そうですよ。」

(逆に一人じゃないように見えるのかな。)
もしそうだったとしたら...そう考えると背筋がゾッとした。




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