はやく気づけ、バカ。
「あ、いえいえ...ただ、真島さんが”おひとりですか?”と尋ねてこられたので私以外の誰かが見えたのかと...。」
ほっと胸をなでおろしそういうと、「っふふ、」と笑いをこらえている真島さんが目の前に。
それをみて一気に顔が赤くなる。
(なんだか私がバカなこと聞いたみたい...、...いや、バカには違いないけれども!)
「あっ、いや、あの、...そんなに笑わないで下さいよ!」
恥ずかしさで半ば噛みつくようにそう言うと更に笑いをこらえる真島さん。
(なに...!?)
愉快そうな真島さんとは反対に私の内心は穏やかではない。
「...っはあ、」
一笑いし終わったのか、真島さんは息を吐いた。
そして、
「おひとりなら、一緒にどうですか?」
と顔の熱が引かない私に真島さんが提案してきた。
「......(どうしよう)」
それに無言で返答した。
「...え、だめですか?」
私の表情から”お断り”の意味を察したのか、真島さんは目を見開いていた。
その表情からは驚きを読み取れた。
...まさか断られるとは思っていなかったのか、真島さんの表情は焦っているようにも見える。
「いや、だめとかじゃないんですけど...。」
そこまで言って、頭の中で思い出したのは今日のお昼の尋問。
(どう考えても一緒に帰らないほうが賢明...どころか、今こうやって話してるのもよくよく考えるとやばいんじゃ...。)
”ほんの30秒ほど会話しただけだが、良い状況とは言えない”ということに気づいた。
「だめじゃないけど、...なんですか?」
断られたことなんて無かったんだろうか、意地でも一緒に帰るぞなんていう意思が伝わってくるような...。
「...あの、すみません。私、失礼します。」
とても断れるような状況ではないし、もしこれがまたあのお姉さまたちに知れたら、
「なんであんたなんかがお断りしてんのよ!」なんてキレられそうだけども。
そうサッと伝え、ペコリと頭を下げるとホームをもう一度歩き出した。