はやく気づけ、バカ。



* * *

午後9時30分。

ガチャリと鍵を回し、ドアを開けた。
(やっと帰宅だ...。)

部屋の中に入るとすぐに鍵をしめ、靴を脱ぐ。そしてスーツからスウェットに着替える。
脱いだスーツはしわにならないように、きっちりとハンガーにかける。


...結局、真島さんのお誘いを断った後、違う車両に乗り込んだ。

更に、もし誰かに一緒の駅で降りたの見られたら危険だとも思って、二駅乗り過ごして、時間が被らないようにまでした。

(真島さんだって知ったときはすごい、こう、びっくりしたし幸運なのかなって思ったけど...)
今なら思う。きっとそんなことはないって。




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