【仮面の騎士王】
ロッソは、部屋の扉を乱暴に開くと、外で膝を折って待っていたマノンの体に蹴りを入れた。「あっ!」と声を上げ、マノンの体が傾く。


「マノン!」


 ケイトリンは慌てて駆け寄り、しりもちをついたマノンをかばうように抱きしめた。その背中に向けて、ロッソは大声で怒鳴った。


「よいか、貴様は首だ! 今すぐ出ていけ!」


 ロッソは足早にその場を去った。もちろん、一度も振り向くことはない。見張りをしていた男は、一瞬迷いを見せたが、ケイトリンたちを助け起こすことも、声をかけることもせず、視線を逸らした。


「マノン、怪我はない?」


「大丈夫ですよ。ケイト様。こんな時に申し訳ございませんが、少しの間、お暇をいただきます。でも、すぐにまた戻ってまいりますから」


「ごめんなさい。私がお父様を怒らせたせいで」


 マノンは首を振って、涙目になり、ケイトリンを抱きしめる。


「必ず、また会えます、と、も・・」


 マノンのとぎれとぎれの声に誘われるように、ケイトリンもマノンを強く抱きしめ返す。


(泣いてはダメよ。泣いている場合ではないのだから)


 自分にそう言い聞かせながら、ケイトリンは、溢れ落ちてくる涙を懸命にぬぐった。

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