【仮面の騎士王】
その時。
「わー、キスだ! レイフとケイトがキスしてるぞ!」
「こ、こら。ニルス!」
ギースは慌ててしゃがみ込むと、ケイトリンたちを指さしているニルスの手を押さえ、もう片方の手で彼の口を塞いだ。
「本当だ。キスだ、キスだ!」
ニルスに呼応して、他の子どもたちがはやし立てる。ギースは二本の手をフル回転したが、残念ながら子どもたちをおとなしくさせるには足りなかった。
「お、お兄様」
ケイトリンは、両手で顔を覆うと背を向けた。わらわらと寄ってきた子どもたちが、ふたりの周りを取り囲んで走り回る。
「お前ら・・」
レイフは腕組みをすると、騒ぐ子どもたちの襟首を子猫を掴むように順番につまみ上げた。
「あははは」
最後につまみあげられたニルスが、腹を抱えて屈託なく笑う。「こらっ!」などと叱られていても、懲りる様子はない。揚げ句、子どもの一人がレイフの膝を後ろから蹴って逃げ出した。
レイフはニルスを離すと「待て~!」と言いながら後を追う。あっという間に追いかけっこが始まり、子どもたちの笑い声がこだました。
「いや、本当にごめん。邪魔する気はなかったんだけど」
ギースは真っ赤になったケイトリンを直視しないようにしながら、頭を掻いた。
「いえ。あの、お兄様の方は大丈夫なのですか?」
ケイトリンは俯いたまま、身体をギースの方へ向ける。
「ああ。大丈夫だよ。マノンの薬は本当に良く効くからね」
怪我を押して大立ち回りを演じたために、ギースは傷が悪化し、数日床に伏していた。
「わー、キスだ! レイフとケイトがキスしてるぞ!」
「こ、こら。ニルス!」
ギースは慌ててしゃがみ込むと、ケイトリンたちを指さしているニルスの手を押さえ、もう片方の手で彼の口を塞いだ。
「本当だ。キスだ、キスだ!」
ニルスに呼応して、他の子どもたちがはやし立てる。ギースは二本の手をフル回転したが、残念ながら子どもたちをおとなしくさせるには足りなかった。
「お、お兄様」
ケイトリンは、両手で顔を覆うと背を向けた。わらわらと寄ってきた子どもたちが、ふたりの周りを取り囲んで走り回る。
「お前ら・・」
レイフは腕組みをすると、騒ぐ子どもたちの襟首を子猫を掴むように順番につまみ上げた。
「あははは」
最後につまみあげられたニルスが、腹を抱えて屈託なく笑う。「こらっ!」などと叱られていても、懲りる様子はない。揚げ句、子どもの一人がレイフの膝を後ろから蹴って逃げ出した。
レイフはニルスを離すと「待て~!」と言いながら後を追う。あっという間に追いかけっこが始まり、子どもたちの笑い声がこだました。
「いや、本当にごめん。邪魔する気はなかったんだけど」
ギースは真っ赤になったケイトリンを直視しないようにしながら、頭を掻いた。
「いえ。あの、お兄様の方は大丈夫なのですか?」
ケイトリンは俯いたまま、身体をギースの方へ向ける。
「ああ。大丈夫だよ。マノンの薬は本当に良く効くからね」
怪我を押して大立ち回りを演じたために、ギースは傷が悪化し、数日床に伏していた。