【仮面の騎士王】
日が沈むころになると、人々が次々に王宮の門から吐き出される。商人たちが出入りするための裏門は夕刻になるといったん閉じられるからだ。
レイフはその人々の流れに逆らい、馬の手綱を引きながら門をくぐった。守衛たちは、レイフの身分を確認することもなく、軽く頭を下げて彼の通行を許した。その中の年配の男は、彼が右手に持つ槍と同じくらいするどい目つきであたりを見渡し、レイフとすれ違いざまに低く囁いた。
「フォンテーヌ公爵領からの報告です」
男はすばやくレイフの手に何かを渡すと、そのまま何食わぬ顔をして門の横に立った。
レイフは自室に戻ると、男から渡された報告を広げた。レイフの予想通り、彼がフォンテーヌ公爵を返上した後、新しいフォンテーヌ公爵から増税の通達がきたこと、レイフに仕えた古参の部下たちが解雇されたことなどが書かれていた。
新しいフォンテーヌ公爵とは、ファビアンのことであり、その爵位をファビアンに授けたのはもちろんアルフォンスだ。
「次は、命を狙われるかな」
レイフは独りごつと、寝台に倒れこんだ。鉛のように重い体が疲労の蓄積を物語っている。
そういえば、最近薔薇の手入れを怠っているな、ふとそんなことを考える。急激に襲ってきた眠気に逆らわずレイフは瞼を閉じた。
レイフはその人々の流れに逆らい、馬の手綱を引きながら門をくぐった。守衛たちは、レイフの身分を確認することもなく、軽く頭を下げて彼の通行を許した。その中の年配の男は、彼が右手に持つ槍と同じくらいするどい目つきであたりを見渡し、レイフとすれ違いざまに低く囁いた。
「フォンテーヌ公爵領からの報告です」
男はすばやくレイフの手に何かを渡すと、そのまま何食わぬ顔をして門の横に立った。
レイフは自室に戻ると、男から渡された報告を広げた。レイフの予想通り、彼がフォンテーヌ公爵を返上した後、新しいフォンテーヌ公爵から増税の通達がきたこと、レイフに仕えた古参の部下たちが解雇されたことなどが書かれていた。
新しいフォンテーヌ公爵とは、ファビアンのことであり、その爵位をファビアンに授けたのはもちろんアルフォンスだ。
「次は、命を狙われるかな」
レイフは独りごつと、寝台に倒れこんだ。鉛のように重い体が疲労の蓄積を物語っている。
そういえば、最近薔薇の手入れを怠っているな、ふとそんなことを考える。急激に襲ってきた眠気に逆らわずレイフは瞼を閉じた。