【仮面の騎士王】
『レイフ。私が死んだら、次の王はお前だ』
王冠をかぶり、仁王立ちになったランベールが口を開くこともなくレイフに告げる。徐々に大きくなる声が、レイフの頭の中でこだまする。
あぁ、またこの夢か、とレイフは思った。
不思議なもので、ランベールが死んだ直後に見た夢の中では顔も声も確かに自分を王に指名した時のランベールのものだったが、数年もすると次第に声が若々しく力強くなり、肖像画に描かれた立派な王の姿で現れるようになっていた。
死の床で告げられた台詞は、もっと弱弱しかったはずだし、寝台に横になった姿はもう少し痩せていた気がするから、夢の中に出てくるランベールとはかなり違っている。おそらく、父親の記憶が曖昧になっているせいだろうとレイフは思った。
昔はよく見ていた夢だが、最近はあまり見なくなっていたのだが。
『父上。死ぬなどと不吉なことをおっしゃらないでください』
夢だと分かっているのに、レイフは何度目かの同じセリフを口にし、心の中で舌打ちをした。その後の展開がどうなるかも、レイフにははっきりわかっている。だが、それを回避するすべはなかった。
『我が兄、ランベール王は次の王として、このアルフォンスを指名なさった。ランベール王に恥じぬよう、立派な王となろう』
ランベールからは、レイフが王となった後、アルフォンスが後見として彼を支える予定だと聞かされていた。だから、アルフォンスのこの発言にレイフは動揺を隠しきれなかった。
王冠をかぶり、仁王立ちになったランベールが口を開くこともなくレイフに告げる。徐々に大きくなる声が、レイフの頭の中でこだまする。
あぁ、またこの夢か、とレイフは思った。
不思議なもので、ランベールが死んだ直後に見た夢の中では顔も声も確かに自分を王に指名した時のランベールのものだったが、数年もすると次第に声が若々しく力強くなり、肖像画に描かれた立派な王の姿で現れるようになっていた。
死の床で告げられた台詞は、もっと弱弱しかったはずだし、寝台に横になった姿はもう少し痩せていた気がするから、夢の中に出てくるランベールとはかなり違っている。おそらく、父親の記憶が曖昧になっているせいだろうとレイフは思った。
昔はよく見ていた夢だが、最近はあまり見なくなっていたのだが。
『父上。死ぬなどと不吉なことをおっしゃらないでください』
夢だと分かっているのに、レイフは何度目かの同じセリフを口にし、心の中で舌打ちをした。その後の展開がどうなるかも、レイフにははっきりわかっている。だが、それを回避するすべはなかった。
『我が兄、ランベール王は次の王として、このアルフォンスを指名なさった。ランベール王に恥じぬよう、立派な王となろう』
ランベールからは、レイフが王となった後、アルフォンスが後見として彼を支える予定だと聞かされていた。だから、アルフォンスのこの発言にレイフは動揺を隠しきれなかった。