【仮面の騎士王】
レイフが悪夢にうなされている頃、子どもたちが寝静まった教会の廊下で、「ケイトリン」という自分の名前が漏れ聞こえ、ケイトリンは足を止めた。
いまだ聞き慣れないギースの声だ。会話の相手が、部屋の主であるフェルナンドだろうということは簡単に予想できた。
会話を盗み聞きするつもりではなかったが、ケイトリンはなんとなく部屋に入るタイミングを失って、耳を欹てた。
「しかし、これで計画は白紙に戻ってしまいましたね。新しい計画はあるのですか、先生?」
窓際に立つフェルナンドの背中に、ギースが語りかけた。フェルナンドは後ろ手に組んだまま、ゆっくりと振り返る。その眉間にはいつもよりも深いしわが刻まれている。
「難しいね。だが、婚礼が中止になったからといって、我々の計画を簡単に中止にするわけにはいかない。レイフが公爵位を取り上げられた今、いつ彼の身に危険が及ぶとも限らないからね」
ケイトリンは扉の外で息をつめた。婚礼というのは、自分とファビアンのことだろうか。
「先生?」
フェルナンドは、ギースの言葉の続きを、人差し指を唇の前に立てて遮った。気配もなく廊下の方へと近づくと、勢いよく扉を開け放った。
「きゃっ!」
身を固くしていたケイトリンは、文字通り飛び上がった。
「ケイト! どうしたんだい」
「ごめんなさい。先生にこれからのことを相談しようかと思って・・」
いまだ聞き慣れないギースの声だ。会話の相手が、部屋の主であるフェルナンドだろうということは簡単に予想できた。
会話を盗み聞きするつもりではなかったが、ケイトリンはなんとなく部屋に入るタイミングを失って、耳を欹てた。
「しかし、これで計画は白紙に戻ってしまいましたね。新しい計画はあるのですか、先生?」
窓際に立つフェルナンドの背中に、ギースが語りかけた。フェルナンドは後ろ手に組んだまま、ゆっくりと振り返る。その眉間にはいつもよりも深いしわが刻まれている。
「難しいね。だが、婚礼が中止になったからといって、我々の計画を簡単に中止にするわけにはいかない。レイフが公爵位を取り上げられた今、いつ彼の身に危険が及ぶとも限らないからね」
ケイトリンは扉の外で息をつめた。婚礼というのは、自分とファビアンのことだろうか。
「先生?」
フェルナンドは、ギースの言葉の続きを、人差し指を唇の前に立てて遮った。気配もなく廊下の方へと近づくと、勢いよく扉を開け放った。
「きゃっ!」
身を固くしていたケイトリンは、文字通り飛び上がった。
「ケイト! どうしたんだい」
「ごめんなさい。先生にこれからのことを相談しようかと思って・・」