【仮面の騎士王】
「あ、あの?」


「これを」


 侍女は戸惑うケイトリンの掌に何かを握らせると、皺のめだつ手でケイトリンの長い指を包み込んだ。無言で彼女の瞳を見つめる。時間にして数秒。侍女はそのまま、足早に立ち去った。


「あ、あなた、ちょっと待って」


 ケイトリンが追いかけようと立ち上がった刹那、真昼と変わらぬ、いやそれ以上の輝きがあたりを映し出した。瞬間的に、ケイトリンは、彫像のように動けなくなった。間髪入れず、雷がけたたましく鳴り響く。たまらず、ケイトリンはその場にしゃがみ込んだ。悲鳴を上げることすらできない。自然に体が震え始める。


 耳をふさごうとして両手を広げた途端、何かが床に滑り落ちた。
 

 ケイトリンは、続く稲光に照らし出されたそれを見て、目を見張った。


「レイフ様・・」


 ケイトリンはそれを拾い上げ、しっかりと握りしめた。枯れ果てたのではないかと思っていた涙が、溢れ出す。


 シャンタルの蒼玉のペンダントが、少しの傷もなく元通りの形をして、彼女の手の中で美しく輝いていた。

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