【仮面の騎士王】
***


「ひどい雷でございましたね」


 部屋に姿を見せるなり、侍女はお茶を入れ始めた。見た目はケイトリンとあまり変わらない年頃の娘だったが、慣れた手つきで温かい湯気が立ち上るカップを寝台に運ぶ。


 そこで初めて、彼女は、起きたばかりのケイトリンの顔をきちんと目にした。


「まぁ、ケイトリン様! いったいどうなさったのですか? 目が真っ赤ですよ。それに、こんなに腫れて」


「あぁ。雷のせいで眠れなかったのです。そんなにひどいかしら」


 ケイトリンが目もとに手をやると、侍女は慌ててそれを制した。


「あぁ。触ってはいけません。すぐに冷やすものを持ってまいります」


 侍女はすぐに濡らした手ぬぐいを持って戻ってきた。


「今日は、お部屋でゆっくりされるのがよろしいですわ」


 ケイトリンに再び横になるように促し、侍女は、ケイトリンの額と瞼を覆うように手ぬぐいを置く。


 火照った瞼の上に置かれた布地の、ひんやりとした感覚が、ケイトリンには心地よかった。


「そんなに雷が苦手とは存じませんでした。おそばにいられず、もうしわけございません。昨夜は、王妃様に呼ばれていたので」


「王妃様に? いったいどんな御用時で?」


「あ、えぇっと。その」


「私に関係のあることかしら?」


「あの。実は、ケイトリン様のご様子をお知らせするようにとのことで」


 侍女は言いにくそうに口ごもった。

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