【仮面の騎士王】
 自分は、ファビアンからだけでなく、王妃からも監視されているのだ、とケイトリンは察した。服の下に身に着けたペンダントを知らず握りしめる。


「それにしても、どうして雷が苦手でいらっしゃるのですか?」


 侍女は余計なことを口走ってしまったと後悔し、なんとか王妃についての話題を避けたがっていた。それがわかっていたので、ケイトリンはそれ以上、追及はしなかった。


「どうしてかしらね。小さいころからどうしてもだめなの。大人になれば平気になるかと思っていたけれど、どうやらそういうものではなさそうね」


「何か、怖い思いでもされたのかもしれませんね」


「怖い思い?」


「あ、いえ。私の妹のことなのですが。幼いころに川でおぼれたことがあって。それ以来、どうしても川に近づけないのでございます。本人はおぼれた記憶がないようなのですが、川に近付くだけで、無意識に体が震えてしまって。不思議なものですね」


「そう。それはおかわいそうに」


「次に雷が鳴った時には、すぐに私がおそばに参りますね。もっとも、婚礼が終われば、すぐに、ファビアン様と一緒の寝室になりますから安心ですわ」


「そうね」


 ファビアンと一緒の寝室になどなったら、気が休まることはないだろう。ケイトリンは、同意しながら心の中で溜息をついた。


 ファビアンとの婚礼は、もう間近まで迫っている。それは、レイフや自分たちの運命の日が近づいていることを意味していた。

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