【仮面の騎士王】
「ファビアン。その美しい姫君にご挨拶させていただこう」


「レイフじゃないか。このような場所に表れるなんて、珍しいね。体の方は大丈夫なのかい?」


 ファビアンは、レイフを見て、素直な感想を口にした。


 実際、先王の息子であるレイフが公式の場の、しかも舞踏会などに姿を見せるのはめったにないことだった。


 そのほとんどを病気を理由に欠席しており、先王の死のショックで気を病んだというのが公式の見解であったが、一部では、アルフォンスにより一室に軟禁されているのだとか、すでに殺されているのだとか、まことしやかな噂が流れていた。


「大切ないとこたちに一言お祝いを、と思ってね。久しぶりだね、ケイトリン」


「レイフ様。本当に、お久しぶりでございますね。母の葬儀以来でしょうか」


 先王ランベールには、弟と妹がいた。ファビアンの父である現王アルフォンスと、ケイトリンの母であるシャンタルだ。つまり、レイフとファビアン、それにケイトリンはいとこ同士であり、幼いころにはよく顔を合わせていた。


「レイフも驚いたろう。ケイトリンの母上が亡くなって以来、彼女が城へ来ることはほとんどなくなったからね。こんなに綺麗になって僕の花嫁になるなんてさ。うらやましいんじゃないかい?」


 ファビアンは、胸をそらして得意げに微笑む。



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