【仮面の騎士王】
「ファビアンと踊っていた時、あまり楽しそうに見えなかったのでね。あいつと結婚して、幸せになれるのかと余計なことを考えたのさ」


 いつも何人もの女性たちがファビアンを囲み、虎視眈々と妃の座を狙っていたことを、ケイトリンは知らなかった。だが、この舞踏会でファビアンと並んでいると、複数の女性が自分を睨みつけていることに気付いた。

 
 ファビアンを慕っている女性――少なくともケイトリンはそう理解した――が一人や二人でないことを思い知らされたが、ただそれだけだった。


「それは・・。正直、好きかどうかわかるほど、ファビアン様のことを知らないので、答えようがありません。でも、ファビアン様に望まれて、父も喜んでいます。きっと、なるようになりますわ」


 一抹の不安を抑え込むように、ケイトリンは笑顔を作った。


「それは違う」


 てっきり同意してくれると思ったレイフは、突然、ケイトリンの手を強く握りしめた。さっきまで優しい色をしていた紫の瞳が、突然鋭いナイフのように輝く。


「なるようになるんじゃない、したようになるんだ」


 強い口調には、決意が宿っているように感じられる。


「したように?」


「そうだ。人生は、自分の意志で行ったことの結果があとからついて回るんだ。私は、今までなにもしていなかったから、こんな結果がついて回っているのさ。でも、これからは・・」


「レイフ様?」


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