【仮面の騎士王】
 ケイトリンは、燃えるような怒りの気配を感じて、不安な表情でレイフを仰ぎ見る。どこかで見たことがあるような悲しい怒りを宿した瞳の色。どこかでこんなレイフに会ったことがあっただろうか。


「あぁ、いやなんでもない。忘れてくれ」


 レイフは言いながら自嘲気味に笑った。


 音楽に合わせてケイトリンの体をターンさせたときには、レイフは元通りの穏やかな表情を浮かべていた。


「それにしても、あなたは叔母上にそっくりになってきたね」


「母にですか?」


 シャンタルの話題になり、ケイトリンは瞳を輝かせて微笑んだ。優しかった母の顔が思い浮かぶ。


「あぁ。美しく、それに優しかった。よく、私が怪我をして泣いているところを助けてもらったものだ」


「まぁ! レイフ様がお泣きになるなんて、そんなこと」


 レイフは、優しい青年であったが、同時に剣がうまいと評判だった。こっそりレイフの稽古姿を見に行っては、マノンに叱られた。泣き顔など、とても想像できない。


「いや、本当さ。実際、私の母が亡くなった時も、一番にかけつけて私を慰めてくれたのはあなたの母上だ」


「そうだったのですね」



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