【仮面の騎士王】
自分の知らない母の姿を知り、ケイトリンはうれしさを隠しきれない。ギースがシャンタルの死のショックで声を出せなくなったため、屋敷では、シャンタルの名は禁句になっていた。


「できればその恩に報いたいところだが、残念ながら、彼女を泣かせてしまいそうだな」


「どういう意味ですか?」


「あなたがあまりに美しくて、ファビアンから奪ってしまいたくなるって意味だ」


 レイフは片眼をつむって見せた。


「まぁ!」


 ケイトリンは白い歯をのぞかせてく屈託なく笑う。


「何かおかしいか?」


「だって、レイフ様がそんな冗談をおっしゃる方だったなんて、私、少しも知りませんでした」


「冗談に聞こえるか?」


「え?」


 レイフはケイトリンの腰に回した手に力を入れ、自分の体の方にぐっと引き寄せる。そのまま唇をケイトリンの耳元に寄せると、吐息でささやいた。


「あなたの唇の味が忘れられない、と言ったらどうする?」



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