【仮面の騎士王】
アルフォンスは大広間を去っていくレイフの姿を目で追いながら、眉間のしわをさらに深く刻んだ。肘掛けに置いた手には血管が浮き出るほどの力が込められている。全身がわなないているのは怒りを御せずにいるからだ。
(本来、怒りを向けられるべきは、あなたでしょうに)
ジゼルは、予想通りのアルフォンスの態度にほくそ笑んだ。
アルフォンスは過去に自分がしたことを、今度はされる番になったのだと、そう確信したに違いない。今までは子供だからと甘く考えていた相手が、成長という名の鋭い牙を研いでいたと感じたのだ。
短絡的な思考回路。だが、だからこそ、ジゼルは溜飲が下がった。
アルフォンスの性格上、そうそうに手を打って可能性の芽をつむに違いなかった。たとえレイフが王位を奪うつもりがなかったとしても。
「そういえば、レイフ王子は、フォンテーヌ公爵の名前を継いでおりましたね。あれは本来、国王の直轄地ではございませんか?」
ジゼルは、ダメ押しのつもりで畳み掛けた。
アルフォンスの眉が、ピクリと動く。
フォンテーヌ領は、もともとこのミルド国の興った地方のことで、緑の豊かな土地である。しかし、ミルド国の主要産業である綿織物の輸出が盛んになるにつれ、港を持つ都市が急速に発展した。
現在では、ミルド国の第一都市は、海沿いにあるこのラシェルとされ、人口の4割が住んでいる。もちろん、王宮もラシェルにあり、ここは王族の直轄地であった。そのため、ラシェル公爵といえばミルド国の王を指しており、現在のラシェル公爵というのは、つまりアルフォンスのことである。
(本来、怒りを向けられるべきは、あなたでしょうに)
ジゼルは、予想通りのアルフォンスの態度にほくそ笑んだ。
アルフォンスは過去に自分がしたことを、今度はされる番になったのだと、そう確信したに違いない。今までは子供だからと甘く考えていた相手が、成長という名の鋭い牙を研いでいたと感じたのだ。
短絡的な思考回路。だが、だからこそ、ジゼルは溜飲が下がった。
アルフォンスの性格上、そうそうに手を打って可能性の芽をつむに違いなかった。たとえレイフが王位を奪うつもりがなかったとしても。
「そういえば、レイフ王子は、フォンテーヌ公爵の名前を継いでおりましたね。あれは本来、国王の直轄地ではございませんか?」
ジゼルは、ダメ押しのつもりで畳み掛けた。
アルフォンスの眉が、ピクリと動く。
フォンテーヌ領は、もともとこのミルド国の興った地方のことで、緑の豊かな土地である。しかし、ミルド国の主要産業である綿織物の輸出が盛んになるにつれ、港を持つ都市が急速に発展した。
現在では、ミルド国の第一都市は、海沿いにあるこのラシェルとされ、人口の4割が住んでいる。もちろん、王宮もラシェルにあり、ここは王族の直轄地であった。そのため、ラシェル公爵といえばミルド国の王を指しており、現在のラシェル公爵というのは、つまりアルフォンスのことである。