【仮面の騎士王】
「ケイトリンか?」


「レイフ様・・」


 ケイトリンが振り向くと、近付いてきたのは、半刻ほどまえに踊ったレイフだった。


「棘で怪我をしたのか」
 

 レイフに話しかけられて、ケイトリンの心臓がこくんと音を鳴らした。


 レイフは、すでに舞踏会の時の正装ではなく、白いシャツを羽織っただけの格好だ。前髪も櫛を通してまとめていた先ほどまでと違い、無造作に額を覆っている。レイフだと知らなければ、まったく王族には見えない。だが、簡素な服装が、かえって彼自身の魅力を引き立たせていた。


「見せてみろ」


「いえ、あの大丈夫ですから」


 ケイトリンは、思わず両手を背中に回した。


「いいから、見せてみろ」


 レイフは問答無用でケイトリンの右手をつかむと、明かりの下にかざす。


「棘が刺さってしまっているな。少し痛むぞ」


 レイフは、左手でケイトリンの細い手首を掴み、右手の指の腹で器用に棘をつまむと、一気に引き抜いた。


「っつ!」


「大丈夫だ。もうとれた」


「あ、ありがとう・・」


 ございます、と言いかけ、ケイトリンは息をのんだ。いつの間にか自分の指先がレイフの口にくわえられている。



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