【仮面の騎士王】
「ほお。それがわかるのか」


 レイフは面白そうに目を細める。


「暗いからはっきりとはしませんけど、何となくそう思っただけです。母がよくダマスクローズでお茶を入れてくれたので、私も時々真似をしているのです」


 香り高いことで有名なダマスクローズだが、ケイトリンは花の香りだけでなく、薄い桃色をした愛らしい花の形が好きだ。


「実をいうと、品種改良している」


「え、そうなのですか?」


 レイフの答えは、まったく意外なものだった。彼はきれいな顔立ちをしてはいたが、ダマスクローズとの組み合わせは、想像がつかない。


「ダマスクをもとにしているが、名前はまだないんだ」


「まぁ、それでは、新種なのですね」


「そういうことになるかな」


 レイフの声が少しだけ弾んで聞こえる。きっと、誇らしいに違いない。ケイトリンは、なんだか自分のことのように嬉しかった。


「素敵ですね」


「素敵になるかどうかは、これからなんだがね」


 レイフは自分に言い聞かせるように小さくつぶやいた。


「何かおっしゃいましたか?」


「いや、それより、どうしてこんなところにいるんだ?」


「あの、ええと・・。少し外の空気を吸いたくなって、歩いていたら迷ってしまって・・」


 突然自分のことに話をふられて、ケイトリンは口ごもった。


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