MAYBE TOMORROW
「メイビートゥモロー アイウィル ラヴァゲイン」

そのひとはそう歌ったように聴こえた。とても細い声で。

そこだけが聴いてとれたのだった。ほかの歌詞はまるでわからなかった。

やがてそのひとがギターを数回、優しくかき鳴らすとその歌も同時に終わった。

そのひとの歌は終わったのだ。

部屋からはまた、物音はしなくなった。

わたしとそのひととの間には静寂が横たわっていた。

それはわたしたちだけのもの、そんな共有感がわたしを覆った。
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