MAYBE TOMORROW
もうそれ以上は何も言えなかった。それが精一杯だったのだ。

そしてそのとき、わたしの記憶がたしかだったならば、
そのそばにナディアがいたはずであった。

彼女はわたしとお兄ちゃんのやりとりを、一部始終すべて
すぐ横で見聞きしていたのだった。

家についてからのわたしは「そのこと」で、ナディアに対して
今までに味わったことのない優越感に浸った。

そんなことはもちろん、はじめてだった。

それもそのはず、あれだけの美少女を「アイテ」に優越感どころか
常に劣等感にさいなまれていたのだから、わたしは。
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