MAYBE TOMORROW
「キャビンでもう少しやるからオマエはひとりで帰ってろ!」

オニイチャンはむげにもそういった。
キャビンとはもう一軒の行きつけの喫茶店でマスターと仲がいいのだ。

おそらくはあそこで練習をさせてもらうのだろう。

「わかった」

わたしの幸福の時間は終わってしまったのだ。
いくら時間よ止まれ、と念じてもそれは無理なんだと思い知る。

悲しい。

会計が終わった。とうとう名前はわからず仕舞い。

会話の中でお兄ちゃんの名前が出るかな?ともおもって期待してたんだけど
最後まで「出ず」だ。

ふたりともお互いに
「オマエ、そこもう少し強く弾けよ」
とか
「オマエ、ひとつ覚えみたいに三度上ばかりハモルなよ。なんかメロ作れ」
とか「最後までオマエオマエ」と呼び合うだけ。

マッタク手掛かりは無し。そしてお開き、だ。
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