政宗かぶれの正志くん
「あの…愛姫ちゃん?」


意を決したような声音に心当たりはなく、「はぁ…」と小声で答える。


「あのね、近々、ちょっと変な人に絡まれるかもしれないけれど、その、変な人ではないから安心してね」


「そう。ちょっと見た目と発言と思考回路が変だけど、そんなに変な人ではないから、その、ね」


言いづらそうに、でもすがるように言われたそれは、いまいち理解しづらいものだった。


変だけど変じゃない。


いや、どっちだよ。


見た目と発言と思考回路が変なら、結構な変だろう。


そもそも、何その物騒な予言。


「あー…だよねぇ…。いや、僕たちも夕べ夜を徹して説得したんだよ?したんだけど、もう聞かなくてねー…」


私の思いが表情に出たのだろう。


片山さんが、取り成すように言い訳を重ねるけれど、全然意味がわからない。


「いや、あの、どういうことか…全くわからないんですが…」


そう正直に告げるも、


「だよねー、わからないよねー。僕たちもわからないんだよ…いや、わかるはわかるんだけれど、わからないというか…」


なんて答えられて、こっちの方が余程わからない。


のらりくらりと交わされる2人の「参ったねー」「困ったねー」に完全に置いてきぼりをくらっていると、店長が料理を運んで来て、オーダーストップの時間を越えたため閉店準備に取りかかることにした。


こっそりと「何の話だった?」と常連客に聞かれたから「近々変人遭遇注意報を発令された」と答えれば、ブハッと吹き出された。







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