政宗かぶれの正志くん
桜の木の下にいる男性。


それがこの違和感の原因だと、近づくにつれ、ありありとわかった。


初めは後ろ姿だった。


スラリと伸びた手足に小さな頭。


芸能人かモデルでも来ているのかと思った。


何かを探しているように左右に頭を動かす度に、肩につくかつかないかくらいの黒髪がフワリと揺れる。


その髪の奥に、形良い高い鼻が覗いた。


彼まで後5メートルくらいといったところか。


ふいに彼が振り返った。


桜の花が咲いていたら、それはもう絵になっていただろう。


男性に対しての形容詞としては不適切だが「美人」という表現が一番しっくりくる。


細面でシャープな顎。


細めの眉にくっきり二重のアーモンド型の眼。


スッと通った鼻筋に小さな鼻頭。


口角が上がった薄い唇。


センターで分けられた顎上まで伸びた前髪が風に揺れている。



何というイケメン。


いや、イケメンだなんてそんな軽々しい言葉で表現したらバチが当たりそうだ。


眉目秀麗という言葉は彼の為に作られたのではなかろうか。


もしや、桜の木の精霊ではなかろうか。


特に面食いではない自分でもこんなに心が踊るのだから、晴香や雪乃なんてテンション上がりすぎて卒倒しそうだ。


皆の注目を集めるのは当然だ。


さらに、もう1点、注目を集める要素がある。


それはあまり見慣れないもの。


彼は右目に眼帯をしていた。

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