政宗かぶれの正志くん
陶器のような白くすべすべの肌に一層映える黒は、どうしても眼を惹き付ける。


こんなに白く、細いのだ。


何か病を患っているのだろうか。


もしくは、患っていたのか。


儚い雰囲気を持つ彼に、失礼かつ気分を害されるかもしれないが、よく似合っていると思ってしまう。


どんどん近寄ってきているのに一向に大きくならないその頭のサイズはどういうことだろう。


あぁ、素敵。


もし歌舞伎の女形でもされているなら、通いつめる自信がある。


一体何者なのだろう。


平然としていると装いつつ、トコトコと距離をつめる。


すれ違う2メートル手間。


目が合った。


ジーっと無遠慮に見つめられて戸惑うも、片目だと見えづらいのかもしれないと思い直す。


いや、でも、それにしても見すぎだろう。


あまりの眼力に居たたまれなくなり、そっと視線を外す。


線の細さとは対照的なゴツいブーツが目に入り、そのまま視線をスライドさせてアスファルトを見つめる。


不自然にならないように、さりげなく、彼の前を通り過ぎた。


無意識に息を止めてしまっていたのだろう。


思わずふぅ…と溜め息が溢れた。


完全に気が緩んでいた私は背後の気配になんて気づくはずもない。


左手首をガシッと捕まれた衝撃に口から飛び出したのは悲鳴というより、奇声。


「ひぃよぉぁぁぁぁ!!」


…笑うんじゃない、そこのギャラリーカップル。


一欠片の冷静な自分が、脳内で呟いた。

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