S級イケメン王子に、甘々に溺愛されています。
すると蒼ノ月様は行き交う人々の中を歩いているスーツ姿の男性に手をあげている。
え、まさか……。
「ん?ウェイターは気づいていないようだな」
当然サラリーマンらしき人は素通りである。
「ウェイターさんはいません!!通りすがりのサラリーマンの方だと思います……」
「いない?」
「自分で自分の食べたいお店に注文しにいくんですよ」
私は説明すると蒼ノ月様を席に残し、たこ焼きを二つ注文しに向かった。
席に戻ると、「実に興味深いな」と付き添いの犬井さんとぶつぶつ話している。
「お、お待たせしました!たこ焼きです!」
「グルメ雑誌で見た物と同じものだな」
「時々、両親と来るんですけど熱々で美味しいですよ!ここのたこ焼き屋さんはチェーン店じゃなくて、元々関西でお店を開いていたおじいちゃんがやってるんです!」
「初老の男性が。そうか。ありがたく頂くよ」
蒼ノ月様はたこ焼き屋さんのおじいちゃんを見つめたあと、丁寧に口へと運んだ。