S級イケメン王子に、甘々に溺愛されています。
「早くぶち込んじまえ。人が来る」
尖った声で指示を出すと、後部座席のドアが開いた。
「火神組のせいで一本シノギを潰されたとこだからなぁ」
不満そうに、でもどこか怒りを宿した声が落とされる。
逃げなきゃ……と、本能が知らせる。
「ガキがぁ!!暴れんなっ!」
むちゃくちゃに身体を動かして抵抗するも、力任せに襟を掴まれる。
もう、ダメだ……。
必死に車のドアの縁を掴んでいた指先がズルっと離れた。
諦めかけた直後、パサッと、なにかが落ちる音が聞こえたと同時。
「───あんたが血眼(ちまなこ)になって探してんのは、わたしでしょ?」
絶望に立たされた私に、会いたいと願ったその人の声が聞こえた。
「……お前!!まさか本物か?火神組の……っ、マジ?」
ボンクラと罵られた男が驚いたように大きな声を出す。