S級イケメン王子に、甘々に溺愛されています。
「……ごめん。ウチの家の事情に巻き込んで。怖がらせたね」
そう言って、火神さんは転がったままの傘を拾うと私に向けた。
さっき聞こえた音は、きっとこの傘が落ちた音だ。
「火神さんが、濡れちゃうよ……」
「わたしはいい。あんたが……明里が濡れなきゃそれでいいよ」
火神さんの目元が和らぐ。
ずっと見たかった火神さんの笑顔のはずなのに、今はとても悲しく笑っているように見える。
「も、もしかして、火神さんの、家の事情……って」
男達の会話が蘇る。
私がなんとなくしか想像していなかったことが、確かなものへと変わろうとしていた。
「うん。もう隠すつもりはない。この事件は元はウチの家のせい。見回りに来てよかった。でも明里まで巻き込んだんだから、ちゃんと話すよ。最初から……全部言っておくべきだったね」
「……最初から?」
火神さんは一度目を伏せる。