S級イケメン王子に、甘々に溺愛されています。
残ったクッキーの入ったカゴを持って、教室へ戻ろうとくるりと身体を戻せば、
「椿……」
まさか会えると思っていなかったから、唐突現れた椿に戸惑った。
同時に会いたかった気持ちが溢れる。
「この前、家に来ようとしてたんでしょ?黒崎から聞いた」
ラスボスの登場もあって引き返したよ、と心の中で呟く。
「うん……」
「明里?」
明らかにいつも通りに出来ない私の様子に気づいた椿。
この階段前には、私と椿のふたりしかいない。
話すなら、きっと今。
けど、椿は目の前にいるのに、ちゃんとここにいるのに、私は目を合わせることも出来ない。
「……婚約のこと、聞いたよ」
私は思い切って言葉にする。