S級イケメン王子に、甘々に溺愛されています。
「んもうっ!!嘘をついて許されるのは女の体重とエイプリールフールだけなのよぉんっ!!」
と、ローランド先生までわけのわからないことを言い出して混乱する始末……。
「つ、椿様……?」
慌てて椿を見上げる撫子様とは裏腹に、椿は落ち着いた声で続けた。
「俺はね?これでもかってくらい、好きって伝えたい奴がいるんだけど。撫子は?」
穏やかに問いかける椿。
離れた椿の声を耳にすると、胸が震えた。
口ごもる撫子様は、決心したように相槌を打つ。
「……わ、わたくしも……婚約……したくありません。好きな人が、いるから……っ」
意を決した言葉は聞き取るのがやっとで。
子供のように泣きじゃくっていた。
「こ、困るではないか!椿くんまで……っ、なんてことを言ってくれるんだ!!撫子!身勝手なことが許されると思っているのか!子供はおとなしく、親の言うことを聞いていればいいんだ!」
もう黙っていられないとばかりに、撫子様のお父さんは怒りを爆発させた。