S級イケメン王子に、甘々に溺愛されています。


暴言だ……。


お金持ちの社長さんのくせに、子供の気持ちがわからないのか、と私まで腹が立ってきた。


けど椿は、ふっと口角を上げて涼しげな瞳をしてみせる。



「ああやって言ってる奴らに、俺と撫子はもっとたてついていいと思わない?」


「なっ……!?たてを、つくだと!?」



顔を真っ赤にした圧倒的強面の撫子様のお父さんだったけれど。


娘の撫子様は、椿の意見にぶんぶんと頭を縦に振る。



おめでたいムードから一変して、はちゃめちゃな祭典へとなってしまったからホール内は大混乱だ。



撫子様は、自分の気持ちに素直になった?



え、つまり、それは。


ってことは……。



「……と、と、戸澤くん!今の聞こえた!?今、撫子様が!!好きな人って……!!」



当然、私も大混乱に陥って、戸澤くんの腕を掴んで引っ張って振り回した。

< 320 / 358 >

この作品をシェア

pagetop