S級イケメン王子に、甘々に溺愛されています。
「アイツも男らしいとこあったんだね?お姫様奪還、成功じゃん?」
ふと隣を見れば、爽快な笑顔を浮かべた火神さんが立っていた。
ふたりが消えていったホールの出口を見ながら、満足そうに頷いている。
「すごいなぁ……戸澤くん……」
「もう、これはいらないよね」
火神さんは戸澤くんが立っていた場所に落ちたそれを拾い上げる。
あ……。
“入学許可証”だ。
あなたがピアノを弾くことを許可しますと書かれている。
もうそれは必要ないよね、戸澤くん。
だって、戸澤くんが探し続けた人は、今戸澤くんの隣にいるんだから。
「え、えーっ、た、大変失礼致しました。祭典の仕切り直しをさせて頂くため、お時間を頂きますので───」
と、ローランド先生や他の教師達が慌ただしくステージ上を駆け回っていた。