S級イケメン王子に、甘々に溺愛されています。
「もっと、頑張ったよって胸張っていいんだよ。もっと欲張りになれよ……わがままだって、明里は言っていいんだよ」
欲張りもわがままも通用するのなら、私はきっと口にするだろう。
ここに居たい、と。
残りたいって……。
「でも、私がローズクイーンになれなかったのは……っ、私自身の問題で……」
「あ?」
睨みをきかせる火神さんの眼力に、ぶるっと身震いする。
「じゃあ、なに?ローランド先生が評価くれりゃあ奇跡が起きんのか?」
ずいっと踏み出して、私への距離を縮める。
「あの……ちょ、っ!?」
「王子を待ってれば、あんたに奇跡が降ってくんのかよ!」
───ダンッ!!
窓が割れるんじゃないかと思う程の大きな音が耳を貫いた。