S級イケメン王子に、甘々に溺愛されています。


「もっと、頑張ったよって胸張っていいんだよ。もっと欲張りになれよ……わがままだって、明里は言っていいんだよ」



欲張りもわがままも通用するのなら、私はきっと口にするだろう。



ここに居たい、と。


残りたいって……。



「でも、私がローズクイーンになれなかったのは……っ、私自身の問題で……」


「あ?」



睨みをきかせる火神さんの眼力に、ぶるっと身震いする。



「じゃあ、なに?ローランド先生が評価くれりゃあ奇跡が起きんのか?」



ずいっと踏み出して、私への距離を縮める。



「あの……ちょ、っ!?」


「王子を待ってれば、あんたに奇跡が降ってくんのかよ!」



───ダンッ!!


窓が割れるんじゃないかと思う程の大きな音が耳を貫いた。

< 329 / 358 >

この作品をシェア

pagetop