S級イケメン王子に、甘々に溺愛されています。


ホール内に飛び込むように、私と火神さんは滑り込んだ。


祭典はとうに再開されており、というかもうほぼ終わりを迎える雰囲気だった。



立食パーティーのようにあちこちのテーブルを人々が囲んで、フルーツやクラッカーをつまんでいる。



「あぶなっ。ギリギリセーフだね!」


「……火神さん、ごめんね。最後まで迷惑かけっぱなしで」


「迷惑かけてよ。これっきりとか、なしだから。だいたい……消えるつもりならせめて、あんたが思ってること全部ぶちまけてからにしな!」



真っ直ぐに、私を射るように見つめた。


うん、と決心して、頷き返した直後。




「───その必要はない」



キンっ、と空気が凍った。



ラスボス……。



そばにいたのか、私を探していたのか、唐突現れたラスボスにごくりと喉を鳴らした。

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