S級イケメン王子に、甘々に溺愛されています。
「てっきり自分の意思で消え去ったと思っていたが、やはり違ったようだ。キミはそんなに、出来た人間じゃなかったね」
緊張の糸が瞬く間に張り詰める。
以前は、一言二言反発出来たのに、私のこの先の未来がこの人に委ねられているのだと思うと、そんな余裕もなくなる。
「ホント、嫌味な奴ね?明里がラスボス呼ばわりするのがわかるわ……」
うわぁー、と隠すことなく火神さんが露骨に顔に出す。
「豆腐屋は宮城会長の計らいで救われたのだろう?」
「……はい」
さすがラスボスだ、なんだって情報を掴んでいる。
「だかしかし、キミがこの青薔薇に残る理由はなにひとつない。今すぐ、立ち去りなさい」
尖った声が胸を刺す。
こう言われることはわかっていたのに、覚悟していたのに。
やっぱり、それでも、素直に返事なんて出来ない。