S級イケメン王子に、甘々に溺愛されています。
近くにいた生徒や教師や、来賓の人までもがこちらを気にするように見ている。
ローランド先生の不安そうな瞳と目が合った。
「あ、あなたねっ!」
「無論、どこの家の人間だろうと、この娘とわたしの契約に口出しをするのは認めない」
鋭く火神さんを制すると、ラスボスが再び向き直った。
「もう、充分だろう?」
終わりを告げられるのだと直感した。
先ほどのラスボスの言葉がぐるぐる旋回して、私は心の中で何度も繰り返す。
……出来た人間じゃない、と。
「キミも、いい思い出が出来ただろう?」
探るように私に問いかけてくる。
この三ヶ月、キラキラした日々はあっという間だった。
「椿のお父さんの、言う通りです」
ポロッと口をついて出た声は、ちょっと硬かったかもしれない。
「……明里?」
私は火神さんの目を見て、さっきよりも大きく相槌を打つ。
大丈夫だよ、火神さん。
もう、ここからはひとりで戦えるよ。