S級イケメン王子に、甘々に溺愛されています。
「私は、なんの教養もない人間です。この青薔薇に来て、身に染みました……」
当然だ、とラスボスがふんっと鼻を鳴らした。
「豆腐屋の娘で、育ちのいいお嬢様方と違って、ただの庶民なんだって」
私は庶民でも、そのことを恥じるつもりはない。
「だから……カリキュラムをこなすのも並大抵のことじゃなくって、私の全力を出したって……手が届かないことばかりでした」
知らないことだらけで、右も左もわからなかった。
「それは当然だろう。無駄な時間を過ごしたな。キミが得たものなど、なにもなかったんじゃないか?」
ラスボスの棘のある声に、ゆっくりと首を横に振った。