S級イケメン王子に、甘々に溺愛されています。



たくさん思い出が出来た。


思い出のままにしたくないって思った。


たとえみんなが忘れてしまっても、それでも構わない。


私が覚えているから。


……椿の笑顔も。


好きで、好きで、あの笑顔をもう近くで見れないって思ったら、たまらなく涙が零れてしまいそうになった。



でも、私がこうやって思えたのは────。




「こんなに優しい思い出が出来たのは、全部、あなたが私を青薔薇に連れてきてくれたから……」


「っ、」


「あなたが、私に契約をもちかけてくれたから」



椿のお父さんは、目を見開いた。



初めてだ。


こんなにも、驚きに満ちた椿のお父さんの表情は。



「───ありがとうございました」

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