S級イケメン王子に、甘々に溺愛されています。
私は、深々とラスボスに頭を下げた。
……心からの感謝をこめて。
大嫌いなラスボスでも、この人がいなかったら、私はみんなと出逢えなかった。
椿とも、もしかしたらあのまま言葉も交わさずにいたかもしれない。
椿のお父さんは、ラスボスだけど、椿のことを一番に考えているんだって。
口ではあんな風に言っていたけど、私が椿と、椿が私と過ごす時間を与えてくれた。
「……だが、キミはここに必要ない」
ラスボスの声が、重くのしかかかった。
覚悟していたけれど、いざ言葉にして言われると、苦しいのを耐えきれない。
明日から、私はもうここに来れないのだ。
どんなに悪あがきしようとも、約束は約束なのだ。
諦めなきゃいけないんだ。
「───それ、逆じゃない?」
舞い込んできたその人の声は、ステージに立った時よりもずっと近くて……。
ドキッと揺れた鼓動とともに、振り向けば───