S級イケメン王子に、甘々に溺愛されています。
「明里は必要だよ?」
そんなこともわからないの?と、椿がひょっこり顔を出した。
それは今までみたいに、過ごしてきた日常のように、とても自然に椿が現れた。
「椿……?」
拍子抜けしそうなくらいふわっと現れた椿を、私は確認するように名前で呼ぶ。
そんな私を視界に映すなり、椿がさらに距離を詰めた。
「明里、汗かいた?顔が真っ赤」
「えっ……こ、これは、教室から走ってきたからで……っ」
いきなり顔を下から覗き込まれて、途端に恥ずかしくなった。
クスッと椿が笑うから、私の心臓はドキドキうるさくなる。
「明里、いい子でしょ?」
ジッと私と椿の様子を見ていたラスボスに向かって椿が投げかける。
「椿、お前はなにを言い出すんだ」
「俺がベタ惚れになるのも仕方ないと思わない?」
「っ、わたしの話を聞いているのか椿……!確かに、お前からすればいい子かもしれないが、青薔薇から去ってもらうことは、もう決まっ……」
椿は考える素振りをしてみせたかと思えば、すぐに口を開いた。