S級イケメン王子に、甘々に溺愛されています。
「明里のいいところなんて、数えきれないほどあるよ?」
「は?」
ラスボスの口からマヌケな声が零れ落ちる。
「明里って、自分じゃ気づいてないみたいだけど、俺の心奪うのがずば抜けて得意なんだよね」
「へ?」
今度は私がラスボスみたいにマヌケな声を出すはめになった。
どういうことなのかわからなくて、椿を見る。
ラスボスも理解不能といったような顔をしていた。
「子供の頃から周りの奴らはいつも一歩引いたところにいた。俺が生まれ落ちた世界は、きっと他の奴らとは違いすぎるんだってことに、少しずつだったけど、気づいた」
子供の頃の椿をそっと思い出す。
椿は幼い時から王子様で、特別だった。
だけど、その頃の椿は寂しそうな顔をしていた。