S級イケメン王子に、甘々に溺愛されています。
「でも明里だけは、いつも俺の隣にいてくれた」
「……っ、」
椿が私の隣にそっと並ぶ。
ふわり、と揺れる栗色の髪。
「子供の頃から追いかけてきたのは、俺の方。明里に惹かれて、夢中で。あー、絶対手放したくないって思った」
淡く微笑んだ椿の優しい瞳から、私は目が離せなくなる。
私の大好きな笑顔が、すぐそばにある。
とても幸福な気持ちに包まれて、私まで笑みが零れる。
ただそれだけで、もう幸せで、温かくて。
私と椿は、顔を見合わせるようにして笑う。
「……黒崎の、言う通りだな」
ポツリ、と落としたラスボスの小さな声を耳が拾う。
その声が、あまりにも優しく響くから、驚いて視線を移した。