S級イケメン王子に、甘々に溺愛されています。
「椿……お前は、いつの間にそんなに優しく笑うようになったんだ……」
“お父さん”の顔をしたラスボスが、椿に愛おしそうな眼差しを向ける。
人のことをハエだと罵っていたあのレベル99ラスボスはそこにはいなくて、ただだだ穏やかな父親の姿があった。
「なんでかなんて、わかるでしょ?」
不敵に椿が笑う。
短く息をついたラスボスが、今度はゆっくりと私に目をやった。
「キミといるから……だろうか」
え?
確かめるような、どこか探るような口調で、けど嫌な言い方じゃなかった。
思いもよらない言葉に私は目を見張った。
「本当はもうわかってるくせに」
はぁっ、とわざとらしく溜め息をついた椿だったけど。