S級イケメン王子に、甘々に溺愛されています。
「この称号を手に入れるって契約を交わしたけど。本当に知りたかったのは、称号を手に入れるかどうかじゃないだろ?」
図星なのか、ラスボスがふいっと目をそらす。
本当に、知りたかったこと……?
「どれだけ自分と向き合って、逃げずに一所懸命になれる人間なのか。それを知りたかったんでしょ?」
「……」
う、嘘……あのラスボスの目が泳いでるんですが……。
ラスボスの背後では、黒崎さんが声を我慢して笑ってる……。
幻の称号への試練は、そういう理由だったってことなの……?
張りつめていた緊張の糸がぷつりと切れた。
「未来の花嫁に試練与えるとか、俺より気が早いんじゃない?」
「っ、わたしは、まだ認めなどいないぞ!」
「ふーん?まだ、ね。この先もっと明里のこと知ったら、今より好きになるよ?」
心なしかラスボスの顔が照れているように見えたのは、気のせい……?