【完】DROP(ドロップ)



「巧ちゃん、鈴は恋愛対象外なの?」



腹に回ってた手に、ギューっと力が入る。



「だから、そーだってつってるじゃん」

「これから先もずっと!?」

「うん、ずっと。鈴ちゃんには鈴ちゃんに合った奴がいるって」

「それが巧ちゃんなんだよ?」

「同じクラスの奴とか。いっぱいいるだろ?」

「クラスの男子なんてガキだもんっ!」

「じゃあ、同じ年の鈴ちゃんもガキじゃん」

「ちが……っ」

「俺は鈴ちゃんを好きになれない。だから諦めろ」



無理に背伸びして恋する事ない。

好きになってもらえる相手を選べばいいと、俺は思う。


叶わない恋は、辛いだろ。


だから、もっと簡単な恋をすればいい。



何も答えない鈴ちゃんが後で泣いていたのがわかってけど、黙って自転車を走らせた。




< 334 / 374 >

この作品をシェア

pagetop