【完】DROP(ドロップ)
「巧ちゃん、鈴は恋愛対象外なの?」
腹に回ってた手に、ギューっと力が入る。
「だから、そーだってつってるじゃん」
「これから先もずっと!?」
「うん、ずっと。鈴ちゃんには鈴ちゃんに合った奴がいるって」
「それが巧ちゃんなんだよ?」
「同じクラスの奴とか。いっぱいいるだろ?」
「クラスの男子なんてガキだもんっ!」
「じゃあ、同じ年の鈴ちゃんもガキじゃん」
「ちが……っ」
「俺は鈴ちゃんを好きになれない。だから諦めろ」
無理に背伸びして恋する事ない。
好きになってもらえる相手を選べばいいと、俺は思う。
叶わない恋は、辛いだろ。
だから、もっと簡単な恋をすればいい。
何も答えない鈴ちゃんが後で泣いていたのがわかってけど、黙って自転車を走らせた。