【完】DROP(ドロップ)
ん?
この声って。
金を払い、雑誌の入った袋を受け取りゆっくりと振り返った俺の目には、いつもより大人っぽい格好をした鈴ちゃんが映った。
友達の女の子と3人で女性誌の前でキャーキャー騒ぎながら笑っていたんだ。
何してんだよ。
こんな時間に。
声をかけようとしたら、チャラそうな男が3人先に声をかけてしまった。
「何、松本はKEIが好きなの? 俺、KEIに似てるって言われんだけどー」
いや、待て。
明らかに似てないだろ。
そう冷静に突っ込んでしまった俺。
てか、知り合いか?
仲良さげに話す男達に紛れて、鈴ちゃんも笑っていた。
これって声かけて帰らすべきか。
友達と遊んでんだから知らねーふりして帰るべきか。
そう悩んでいるうちに、動き出した6人の後を隠れて追ってしまっている俺は何がしたいんだ?
いや、ほら。
松本の妹だし。
何かあってからじゃ遅いしな。
……何で自分自身に言い訳してんだ。
人気の少ない公園へと入って行った6人。
周りには大きなビルばかりで、人目にもつきにくい場所。
こんな時間に、中学生がこんなとこ居たら変な奴に絡まれんぞ。
時計を見るともうすぐ11時になろうとしていた。
初めは、遊具でガキみたいに遊んでた奴等も、2人ずつに別れ出す。