【完】DROP(ドロップ)



さっきKEIに似てるって自分で豪語してた奴が鈴ちゃんの隣に座り、親しげに話してる。



てか鈴ちゃん嫌がってね?



近付く距離に、少しずつ離れて行く鈴ちゃんが見ていてもわかる。

そいつの手が鈴ちゃんの肩に周り、もっと近寄るそいつを両手で押し返してるのを見た瞬間。



「やり過ぎ」



そう言って、鈴ちゃんの腕をヒョイと掴み立ち上がらせた。



「はぁ? お前誰?」



ガン垂れるそいつが立ち上がっても俺が、そいつを見下ろす事には変わりなく。



「兄貴だよ」

「兄ちゃん? 本当かよ、松本」



俺から外した視線を鈴ちゃんに向ける。


俺も鈴ちゃんを見た。

小さく首を振ったかの様に見えた鈴ちゃんは、顔を上げ



「巧ちゃんは、鈴のお兄ちゃんなんかじゃないでしょ!」



そう叫ぶと走り出してしまった。



「ちょっと、鈴ちゃん!?」

「おい。お前、嘘言うんじゃねーぞ」



悪態つくそいつに



「うるせーよ、チビ。もう手出すな」



って大人気ない事を言ってしまったんだ。



< 338 / 374 >

この作品をシェア

pagetop