【完】DROP(ドロップ)
「ふーん」
何で? って聞きたかったけど、また怒られると思ったから我慢した。
俺はハッキリ言われなきゃわかんないし。
詮索とか絶対無理なタイプだし。
それなのに、俺の周りはどうしてこうも難しい奴ばっかなんだろ。
「ねぇ、陸」
「んー?」
「……キスしない?」
その言葉を聞き間違いかと思って、奈央に視線を向けると重なっていた唇。
俺は動く事が出来なくて、目を開けたまま。
ただジッとしていたんだ。
下流れていた曲が変わった頃、そっと離れた唇から
「目くらい閉じなきゃ、ドラマ出れないわよ?」
ニッとひとつ笑みを漏らし、鞄を持って部屋から出て行ってしまった。
重いドアは今日も、低い音を立てて閉まるんだ。
ちょちょちょちょちょちょちょ……
ちょっと待ってくれっ!!!
何だ、今の。
だって、俺……奈央と奈央の友達には手出さないって決めてて。
それは友達だからで。
そりゃ、奈央ちゃんを抱けって言われたら、喜んで頂きますけど。
いやいや、だから。
気まずくなったりするのが絶対嫌で。
だから、それは友達だからだろ!?
頭の中は大パニックを起こしていた。
てか、何で?
何でキス……。