【完】DROP(ドロップ)



休みに1人、家で夜を過ごしたのなんていつぶりだろう。

朝、カーテンを開けると眩しいくらいに日差しが飛び込んできた。



あの後、部屋に入って来た秋人が、



「おい、奈央走って行ったけどお前何かしたんじゃねーだろなぁ?」



そう怪訝な顔をして俺を見つめた。

ボーっとしていた俺は、その顔を見ながら、されたのは俺だっつーの。って思ったんだ。



「あっれ? あーぁ。奈央、また忘れてるよ」



ソファから、取り上げた季節外れの薄いピンクのストール。



俺が不思議そうな顔をしているのを気づいたのか、



「これ、この間来た時に忘れてさ。今日取りに来たくせに、また忘れてやんの」



と教えてくれた。



「あ、お前、仕事で会う時くらいあんだろ? 渡しといてよ」



そう無理矢理渡されたストール。



「え? またココに来た時に渡せばいいじゃん」

「……次はあるかねぇ?」



意味深な答えと、不敵な笑み。


何だよ、どいつもこいつも。
わけわかんねーよ。



「お前も、いつまでも昔に囚われず大人になれよー。
あ、お前、次来るときは奈央付ね。そうじゃなきゃ店入れないから」



そう言って、秋人は出て行ってしまった。




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