【完】DROP(ドロップ)
「奈央ね、好きな人に置いていかれたくなかったんだって。知ってた?」
「好きな奴?」
「……そう」
小さく吐いた溜息と、呆れた笑みを零して
「だから奈央、あんなに必死に頑張ってるんだよ」
「ふーん。で、好きな奴って?」
聞き返した俺に、圭矢の顔から笑みが消えた。
「後は、自分で考えて」
そう言うと、スタジオのドアを開け、出て行こうとする。
「おいっ、ちょっと待てよ。何なんだよ!?」
呼び止めたのに無視する圭矢を追いかけ、一緒に外へと出ると偶然か、マネージャーと言い合う様にして話す奈央の姿があった。
あ……。
「ちょっと、奈央。この後の撮影は!?」
「……ごめんなさい。気分が悪いの」
「もうっ……」
マネージャーの携帯が鳴り、その対応をするマネージャーを無視して奈央はそのまま歩き続ける。
「ちょっと、奈央待って! あ、はい……その件なんですが」
何故かと言われたらわからない。
だけど、追いかけなきゃいけない気がして。
奈央のマネージャーさんの隣を通り過ぎながら、手をあげ
『俺、見とくから』
そう言って後を追ったんだ。