【完】DROP(ドロップ)



「奈央ね、好きな人に置いていかれたくなかったんだって。知ってた?」

「好きな奴?」

「……そう」



小さく吐いた溜息と、呆れた笑みを零して



「だから奈央、あんなに必死に頑張ってるんだよ」

「ふーん。で、好きな奴って?」



聞き返した俺に、圭矢の顔から笑みが消えた。



「後は、自分で考えて」



そう言うと、スタジオのドアを開け、出て行こうとする。



「おいっ、ちょっと待てよ。何なんだよ!?」



呼び止めたのに無視する圭矢を追いかけ、一緒に外へと出ると偶然か、マネージャーと言い合う様にして話す奈央の姿があった。



あ……。



「ちょっと、奈央。この後の撮影は!?」

「……ごめんなさい。気分が悪いの」

「もうっ……」



マネージャーの携帯が鳴り、その対応をするマネージャーを無視して奈央はそのまま歩き続ける。



「ちょっと、奈央待って! あ、はい……その件なんですが」



何故かと言われたらわからない。


だけど、追いかけなきゃいけない気がして。



奈央のマネージャーさんの隣を通り過ぎながら、手をあげ

『俺、見とくから』

そう言って後を追ったんだ。




< 358 / 374 >

この作品をシェア

pagetop