【完】DROP(ドロップ)



「あはは……流石、陸だねー」



散々笑った奈央を見て、急に恥ずかしくなった。

キスしたら、好きって事じゃねぇの、普通は。

少なくても俺は、そう思ってたんだけど。



「もういいよ。俺だけ仲間外れでいいよっ」

「もう、拗ねないの。キスしたのは……陸だからよ」



そっぽ向く俺に向かって、真顔でそんな事言われたらさ?


俺、ない頭で考えちゃうよ?



秋人に言われた『お前、次来るときは奈央付ね』

圭矢に言われた『奈央ね、好きな人に置いていかれたくなかったんだって』



それってさ。



もしかして、俺の事だったりする?


カーッと赤くなった顔を見て、また笑った奈央。

鞄から季節外れの薄いピンクのストールを出し、奈央に近付いた俺は首へとそれをぐるっと巻いてやった。



「あれ? これ。ってか、暑いよ、陸」



それを取ろうとする奈央に、近付き



「奈央ちゃん、……キスしない?」



そう言って、キスをしたんだ。

目を見開いたままの奈央と唇が離れて目が合うと、見る見る顔が赤くなる。



「目閉じなきゃ、ドラマの仕事なくなるよ?」



俺、上手い!



そう思ったのに……

奈央は、瞳の奥から涙を溢れ出させ



「ばかぁ~」



って俺に抱きついてきた。


< 360 / 374 >

この作品をシェア

pagetop