【完】DROP(ドロップ)
「あはは……流石、陸だねー」
散々笑った奈央を見て、急に恥ずかしくなった。
キスしたら、好きって事じゃねぇの、普通は。
少なくても俺は、そう思ってたんだけど。
「もういいよ。俺だけ仲間外れでいいよっ」
「もう、拗ねないの。キスしたのは……陸だからよ」
そっぽ向く俺に向かって、真顔でそんな事言われたらさ?
俺、ない頭で考えちゃうよ?
秋人に言われた『お前、次来るときは奈央付ね』
圭矢に言われた『奈央ね、好きな人に置いていかれたくなかったんだって』
それってさ。
もしかして、俺の事だったりする?
カーッと赤くなった顔を見て、また笑った奈央。
鞄から季節外れの薄いピンクのストールを出し、奈央に近付いた俺は首へとそれをぐるっと巻いてやった。
「あれ? これ。ってか、暑いよ、陸」
それを取ろうとする奈央に、近付き
「奈央ちゃん、……キスしない?」
そう言って、キスをしたんだ。
目を見開いたままの奈央と唇が離れて目が合うと、見る見る顔が赤くなる。
「目閉じなきゃ、ドラマの仕事なくなるよ?」
俺、上手い!
そう思ったのに……
奈央は、瞳の奥から涙を溢れ出させ
「ばかぁ~」
って俺に抱きついてきた。